柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

「包帯クラブ」本感想



柳楽くんが出演するって知ってからすぐに注文(笑)
天童さんの本は随分前に「永遠の仔」を読んで以来です。
彼が書く本は内容が結構重いので、なかなか「いつか…」と思って読めないんですよね…。

ですが、これは高校生向けに書かれたようで
そこまで重くありません。

両親の離婚がきっかけで、身の回りの色々がイヤになっていたワラが
病院の屋上で風変わりなディノに会い、「自分が傷ついた場所に包帯を巻く」ことを体験する。
これがキッカケで仲間達と「依頼者の傷ついた場所に行って代わりに包帯を巻いて
写真を撮って送ってあげる」という包帯クラブが誕生。
学校、街、公園……様々な場所に巻かれてたなびく白い包帯。
ところがこのクラブの行動が思わぬ波紋をよぶ……。


というもの。
全体の構成がちょっとおもしろく、大人になったワラ達がネットで当時の包帯クラブ
報告をする、という回想スタイルをとっています。
高校時代の話が進行するにつれ、現在の彼らの様子もちょっとずつわかってくる。
ここがおもしろかったですね。
大抵この手の青春モノってその後の彼らは想像するしかないんですけど、
この小説では彼らがどんな大人になって、どんな関係性なのかがわかる。
それは(現実味はあまりないかもしれないけれど)嬉しい「将来」で。

もしかしたらこれは暗に作者からの
「大人になったらこんな将来が待ってるかもしれないんだから今、死ぬなよ」
っていうメッセージなのかな、と思ったり。

で、本題の高校時代のお話ですが。
この「傷ついた場所に包帯を巻く」っていうアイデア
これがもうすごいな。
聞くと「ふーん」と思うけれど、青春時代を過ぎて何十年経った大人が
ゼロからこの発想ができるっつーのは、なかなかできるもんではないゾと
思ってしまうのです。

で、ワラの元彼とのエピソードとかもね、男なのによく女子高生の感情がここまで
書けるなーと。もちろん、それが作家なんですけど(笑)
たまに無理して滑っちゃってる感じの人もいるじゃないですか。
それがほっとんどなかったですね。
あのエピは世の中の男子高校生全員に読ませたいです。
女の子の友情も、結構リアル。
中高生の頃って、あーそういうことで疎遠になったり、ダメってなると男子よりハッキリ
態度に出したり、うん、そうだったよなぁなんて遠い昔を思い出してみました。

ディノのキャラは、いいですね~。ああいう軽くてお調子モンで、でも底に何か抱えてるっていう
男の子は好き(そういうレベルかい!)。
読みながら、ついつい「柳楽くんだったらこんな感じで言うのかな」とか考えてしまいましたヨ…。

普段の天童さんより内容が軽い分、大人が読むと残るものがちょっと物足りない感はあります。
でも中高生にはぜひ読んで欲しいなぁ。
映画化されることで、より多くの中高生がこの物語を知ることになるのであれば、
それはステキなことかもしれない。


~ここから先は映画化に関して
・この回想スタイルはどうするのか
・要素としてははずすことができない「エセ方言」をどう表現するのか

堤監督のことだから一筋縄ではいかないと思いますが(笑)
この2つが私の興味です。
原作の「大人になったワラ達」の状況が結構気に入ってるので、
ぜひ映画でもやって欲しいのだけど、映像としてやると真実味が薄れそうだし…。
エセ方言も「他の人達にはわからない暗号」として使っているから
わかる方言を使った時点で暗号ではなくなっちゃうし、かと言ってわからない方言を
使ったら、観てる観客も注釈がないとわからないし…ここは本当にどう演出するのか
楽しみです。
色んな記事を読むに柳楽くんは関西弁オンリーみたいだけど……。
うーむ。
どーすんだろ。