柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

「ブラッドダイヤモンド」

ブラッドダイヤモンド」観てきました。

柳楽くんネタを出したいからとかではなく、
純粋に「誰も知らない」を観た時と同じような感覚になりました。

観てるのがつらい。
でもこの映画から目を背けるのはズルいことなんじゃないかって。
今の生活の遠い延長線上に、自分とは全く違う生活をしてる人々がいる。
それに目をつぶっちゃいけない。
その世界にいる人々は、目をつぶろうがどんなに寝ようが
その世界にい続けなければならないのだから。
そういう人達がいる、ということを知らずにいることが一番罪だと思うから。
だから、どんなに心が刺されようとも、最後までしっかり見なくてはいけない、と。

「血のダイヤモンド」別名「紛争ダイヤモンド」。
ダイヤモンドを欲しがる人がいる。
ということはダイヤモンドはお金になる。しかも大金。
政情が安定していない国では、テロやゲリラの資金源として
多くの人々の命を巻き添えにして、アンダーグラウンドな取引が行われている。
描かれているのは「キンバリープロセス」ができるまでの90年代を描いているけれども
おそらく今現在も似たようなことは行われているんだと思う。

映画の前半部分は特にその残酷な部分を描き出す。
This Is Africa.
これがアフリカだ、と。
観客に「あなたはこのアフリカをどう思いますか?」と突きつけるように。

その中でも、新聞やニュースなどで見かける「少年兵」が具体的にどうやって
「作られていく」のか、という経緯の部分は本当にショックで。
今でも20万人の少年兵がいると思うと、空調のついた映画館でヌクヌクと映画を
観ている私との落差をどう受け止めればいいのか、動揺してしまう程。

素晴らしいのは、この「現実のアフリカ」を容赦なく突きつけながらも、
無駄なくキャラクターをそれぞれ印象づけ、話の核となる3人の人間関係を進展させ
なおかつ、巨大ダイヤモンドを誰が手にするのかというハリウッドならではのスケール感も
存分に感じさせるところ。
前半の脚本は私の目では完璧に見えました。

後半になると多少どうしてもハリウッドアクションとしてのクライマックスにもっていくために
無理がみえるところもありましたが、それでも安易に恋愛要素を詰め込むこともせず
3人それぞれの立場からの(説教くさくはない)心に刺さるメッセージを自然な流れで
言わせるなど、充分ひきつけられました。

素晴らしい映画だと思います。
90年代ぐらいからある意味「ハリウッド映画」というのは「派手なだけ」という揶揄も含まれてたけれど
こういう映画を作るならすごく意味があるんじゃないかな。
お金がかけられる、ということはよりリアルに見せられる演出が可能な訳で、
今回の場合は、それが上手く作用してドキュメンタリーを観ているような気になった程
画面に隙がなかった。


そして俳優陣。
素晴らしい!
ディカプリオは、私の中では「ギルバートグレイプ」がピークだったんですけど
ここ数年で映画選びが上手くなって、この映画でとうとう本物の俳優になった感じ。
ちょい太めなのも、この映画のキャラには合ってたし、何より迫力があった。
なんで、アカデミー取れなかったんだろう?って思うくらい。
残り二人の演技もいいし、黒人の子供の子とかもよかったなぁ。


「誰も知らない」のように、精神的ダメージがあるから「必ず観て」とは言えないんだけど、
でも心の底では「絶対全員観て!」と叫びたくなるそんな映画です。
高校3年くらいで必修で観てもいいのに、と思うくらい。
そしたら、世の中の女の子は簡単に「保証書なくてもいいからダイヤ欲しい」なんて
言わなくなると思う。

「キンバリープロセス」の認知をまずは100%にしたいな…。