柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

感想

あー、やっぱり昨日書けばよかったかな。
さっそく記憶や感情がちょっと薄れつつあります(汗)
まずはネタバレなしで書きますが、1ミリも前情報なしで観たい方もいると思うので
その方は以下はお読みにならないでください。










まず、「100%ハッピーエンドですっきりしたい人には向いていない映画」
ではあります。

ただ、私の中では十分ハッピーエンドというか、何か背負ってる人が
2時間のストーリーの間で100%解決しましたというラストって、逆に
「そんな都合のいいことあるかい」と思ってしまう方なので、
この映画のラストは地に足が付いていてあの映画としての落ち着きどころ
としてよかったのではないかと思います。

さて、その先ですが。
実は、一番最初にブログを始める時に自分なりの方針をいくつか決めていて、その1つが
「優弥くんが出演していても、映画の評価自体はなるべく客観的にする」
というものだったのですが、それが今回は無理っぽいです。

観ている時に何度か泣いてしまったのですが、それが
映画のストーリーに純粋に泣いているのか
優弥くんが演じることで泣いているのか
自分でもわからなかったのです。

だからもう、今回まずは思い切り「優弥くんファン」目線の感想を書きます。

1番に思ったこと。
監督、この映画にこのタイミングで優弥くんをキャスティングしてくれて
本当にありがとうございます。
きっと、2年というブランクの後の復帰第1作がこのストーリーだったことは
彼にとってすごくすごく大きかったんじゃないかって思います。
これは本人が一番いやがる観方なのですが、でもどうしても今回だけは色々色々色々
オーバーラップしてしまって、だから、光治くんを観ているのか、光治くんを通して優弥くんを
観ているのかわからなくなってしまいました…。

また、ファンにとっても、(監督本人もおっしゃってましたが)10代と20代のまさに狭間という
ほんのちょっとしかない貴重な時期のすべてを映してくれたという意味で、価値のある作品になると思います。


他は、全編通して割とセリフがよかったと思います。
「セリフがよかった」というのは「ここで敢えてセリフを言わせない」というのも含めて、です。
またそれを出演者がうまくこなしていたから、ほんと自然な会話という印象がありました。
松重さんとか白井さんとかやっぱり上手だなぁと。
優弥くんもぶわっと感情込めるセリフはばっちりだったのですが、少し長めのフラットに話す部分は
自分の言葉になりきれてないかなぁというところが2か所ぐらいあった印象です。
でも2年のブランクでここまでできれば上等!数こなせば絶対クリアできると思います。
(って、超上から目線。おまえ何様や…)

あと気になったのは、映画の演出論とか全然わからないですが、初監督作品ということもあって
なんとなく感覚的にやっぱり演出が撮り慣れてないのかなぁという感じがありました。
どこがどうとは言えないんですが。
予算の都合もあったのかもしれないですが、自主制作映画っぽい雰囲気があったような印象です。
こちらもきっと、数をこなすとこなれるものなのかもしれないですね。


あ、主題歌いいですね~!映画に合ってました。
ちなみに、なんか他にもこういう系のバンドがあったような気がするんですが、思い出せず…。

ということでネタバレなし編はあっさりとこの辺で。


はい、ネタバレいきます。
あ、今回は監督=原作者なので映画で言いたいこと=原作で言いたいことだろうと思い
敢えて原作を読んでません。

まずは、光治くん。
光治が背負っていたものが重いのか、軽いのかは大人にはきっと判断できない。
大人によっては「このぐらいじゃ崩壊じゃないだろう」と思うかもしれない。
でも10代の時には両親が不仲という時点で十分「崩壊」なんだろうと思うし、
ましてや学校もうまくいってなかったら、まぁ、普通は妹みたいにグレるか、引きこもるかになる。
ということで、それでも真面目に学校行ってる時点で
「グレもせず引きこもりもしないキャラクター性」に説得力が必要なんだと思うけど、
優弥くんは昔っからその辺の存在感を醸し出すのがうまい。
これは能力というものではなくて、持って生まれたものだとはいえ、やっぱり貴重。
逆を言えば、頑張ってもそういう雰囲気を出せない人は出せないと思うし。
夏樹演じるサトエリが(こちらも演技だと思いますが)常に目の力が死んでるような感じなのに対し
光治は常に「あきらめていない目」をしてるのが、二人の違いの象徴という気がしました。
自分的にはやっぱり夏樹の部屋のシーンが最高ですね。
いやもうちゃんとドーテイに見えました。ここは間違いなく優弥くんじゃなくて光治くんを観てました。
心の中で「光治くん大変…だよね」と思いましたもん(笑)

夏樹は、10代で援交していて、今も寂しさを体で埋めてしまうというキャラクターなので
正直自分には共感しづらいタイプなのだけど(汗)、でも20代ならではの焦燥感や後悔は理解できるし、
特に光治とのおしゃべりではなく鹿島との逢瀬を選んだ後の壊れたように泣きじゃくるのは
シチュエーションは全然違っても、ああいう泣き方をしてしまうことって20代の時はやっぱり
あったので、すっごくシンクロしました。
また、そこで鹿島が空気読めてない声をかけるところが、すっごいリアルで(笑)
あー、そうそう、きっと男はそう思うんだろうなと。

あ、鹿島さんもいいキャラクターだったな。
要くんもこういう人間を上手く演じてました。
体目当てで近づく男なんて、きっと巷にはあふれてるだろうし、そのぐらいで人間が100%だめとは
言えない。事実、鹿島さんも本当は作家になりたかったのに、その作家を支援する立場に
なっているという苦悩や悩みがあって、リアルでいいなぁと思いました。

で、劇中劇のコトリが「今までの罰みたい」に死んでしまうラストに、彼女が反発するのも
わかる気がしました。
というか、それが監督が言いたかったこと、なんですよね。
映画観てる時は「貴重な2時間のうちこんなにコトリのあらすじに時間使っていいの?!」と
思いましたが、ラストまで観たら意味がわかりました。

消したい過去がある人も
今尚抱えているものがある人も
自分を責めて死ぬんじゃなくて、迷いながらも生きて生きて生きたらその先には絶対に何かがある。

ロマンティックに死ぬより、リアルに生きよう。

そんなメッセージだったのかなぁと思いました。


さて。
ここから先は単なる妄想(笑)
夏樹とはああいう宣言もあったし当分何もなくて
やっぱり夏樹は色々な男と寝ちゃうんだろうけど、
光治はずっと待っていて、最終的には夏樹が戻ってくるんだろうと。
つまり、コトリとその幼馴染(でしたっけ?)と同じでようやくその時に
「真実の愛」ってもんを知って、本当の意味でハッピーエンドになる……。
なんてことを考えてみました。
監督はきっとそんな安易なのは好きじゃなさそうだけど(笑)
光治くんの先に「わたしがいた」ように、夏樹の先にも「光治くんがいた」
だといいなぁと思ってます。


1つ、超どーでもいい細かいところですが、会社員やってると気になったのが、
店長と夏樹で大高家に謝りに行った時、うちにあがる時に初めてコート脱いでましたが、
あれあり得ない…。
お詫びに行くんだから、ピンポン押す時点でもう脱いでないと。
細かいところなんですけど、逆にそういうところをリアルにやるかどうかで
観る側の気持ちのノリ方が違ってくると思うんです。
例えば、「あんな大きな本屋であれしかスタッフいないってありえないでしょう」とかっていう設定部分は
割とまぁ目をつぶれるんですけど、キャラクターの行動に伴う部分は気になってしまいます。

でも、その後のお詫びの仕方とか名刺を出してさまよった上で机に置くのとかあの辺はリアルでした(笑)

って、何の話だって感じになってきましたが、とりあえず今思い出した部分を文章にしました。
後で思い出したらちょこちょこ追加するかもです。