柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

ネタバレ編レポート&感想(とりあえず一幕)

昨日から書き始めたんですが、なぜか1から全部書き出してしまい、
このペースでいったら1週間経っても終わらない!と気付いたので
(気付くの遅!)もうちょっとサマライズしたものを書くことにしました。
が、サマライズでも長くなったので一幕までをまずはあげます。

一応全部バージョンも途中まで書いたものを保存はしたんですが、
サマライズでもこの長さってことは本当に終わらない気がしてきた…。
しかも覚えてるセリフ書き出すだけの違いなので、柳楽くんレポとしては
もはや価値がないかも^^;


では原作ネタバレも演出ネタバレも一気に書くので
これから観る方はぜひその後に観てください。

また2回みた中での記憶だけで書いているので言い回しなど色々違うと思います。
残り2回で気付いたところは修正しますが、気付いた方はご指摘くださいませ!

あと、全部振り返っての感想は最後に書けたら書きます。
では右下の「続きはこちら」からどうぞ!





最初はすーっと始まります(2日目は笑い声が突然流れたけど、ハプニングのような気も。
次回で確かめます)。
いつの間にかイスが一列に並べられ、主要人物が座り、柳楽くんも座り、
金閣寺の朗読が始まります。溝口の生い立ちと金閣寺への憧れが語られます。そして…
「内界と下界の間の扉の鍵が錆び付いていて開かない」の文章が読み終えられた瞬間に
ダン!とイスの音をたて、周りは全員威圧的に立ち、逆に柳楽くんは立ち上がるものの
頭を抱えて縮こまり、ここから溝口の世界へ入っていきます。

海機の学生の短剣エピソード、有為子の自転車と脱走兵エピソードがテンポよく展開されます。
ここまでの間にもう一気に柳楽くんは溝口として観客を連れて行き、
観客は溝口の体験に共振します。

というのも、原作では文字だけだったどもりが、実際柳楽くんが目の前で
手も肩も足もすべてが委縮しながらどもることで「ああ、こんなもどかしい
思いをしてるんだ」「伝えたいのに伝わらないのってこんなに切ないんだ」と
溝口の孤独感、焦燥感を体感するからです。
さらに、関西弁が溝口を「可愛らしく」しているように思います。
例えば「なるんや」という言い方が、芯がある感じではなく少年っぽい言い方なので
未成熟さがより伝わるのかなと思いました。

一方で、原作は溝口からみた視点でしか語られませんが、舞台では第3者視点で
俯瞰して見られるので「溝口からはそう見えていたかもしれないけれど、相手は
そういうつもりはなかったのでは」という可能性に気付けたりするんですよね。
溝口は相手に嫌われている前提だったけれどそうではない、とか、逆に
老師のことを買いかぶりすぎているとか。
これまた新鮮でした。

有為子のエピソードの後、溝口は父と金閣寺鹿苑寺)に向かいます。
(この電車のシーンも机の上に二人が腰かけるだけで電車と見立てるという斬新さ!
でも光が前から後ろに流れることで電車が走っていることがよくわかるのです)
ここの父親とのシーンが数少ないほっこりシーンで、2日目のおにぎりハプニングは
ここで起こりました。
たもとからおにぎりを出して「おにぎり食うか?」「父ちゃんはええの?」
「父ちゃんはええ」で、ちょっと微笑んでから美味しそうにおにぎりを頬張る溝口を
観ていると、溝口にとって本当に安心できる存在だったんだなと思います。
(会話うろ覚えです)

金閣寺につき、無事徒弟となることになり、初めてこの目で金閣寺を見るのですが
原作とは違い、副司さんに連れられて観に行きます。
(副司さんが一番原作から膨らんでいるキャラクターで老師にごまをすりつつ
自分が仕切りたいという自己権威欲もあり、溝口に対して芸人のツッコミ的な
文句を言うユーモラスなキャラクターになっています)
(当時の)金閣寺があまりに古ぼけた寺で「これが金閣寺?」とポカンとする溝口。
「(講釈を一通りたれて)わかってるんかいな!」とぼやく副司さん。

ところが、父と合流し、美しくないことを言おうとした瞬間に父は
「いやぁ金閣寺はこの世で一番美しい」と言い切るのでした。
一番慕っている人が絶対的に美しいというもの、それが金閣寺だったのです。

ですが、直後に父は死にます。
「ぼくは独りや!」うずくまる溝口。

ここから寺の修行生活が始まるのですが、この「きっかり決まった生活」を
大駱駝艦という舞踊集団の男性たちがリズムのある一定の動きで「5時起床」
「老師に新聞を届ける」「読経」「粥座」「廊下の掃除」「草取り」「庭掃除」「薪割り」と
兵隊ばりにカチカチと表現していきます。その中で溝口がワンテンポ遅れて動く
のも少しユーモラスです。そんな毎日の中で掃除をしているとふと
「そんなに頑張らなくていいんだよ」と声をかけるのが鶴川です。

出会いの会話は原作ほぼそのままです。
水田くんは柳楽くんよりちょっと背が高く、ニコニコと笑っているので
溝口にしたら本当にまぶしい存在だったんだろうなぁと自然と思えます。
寝ころんだ鶴川の白いシャツに吸い寄せられるように手をもっていこうとすると
鶴川が起き上がり、慌てて手を引っ込めるのですが、このシーンは、ちょっと間違えば
同性愛に踏み入ってしまうかのような危うさがあって、溝口の鶴川への憧憬が
よく表れているなーと思いました。
ちなみにここの「木漏れ日」のシーンも暗転している中にゆらゆらとした白い光を
当ててるだけで、それなのに観ている方はちゃんと木漏れ日を感じる素晴らしい演出でした。

ある日、溝口は新聞を届ける時に「京都も空襲にあうかも」ということを知ります。
あんなに絶対的と思っていた金閣寺も自分と同じように燃えてなくなるのかもしれない、
そんな考えに至り、さらに金閣寺に惹かれていきます。

夏休みの最終日、「映画に行こう」という鶴川に対し、どもりながらも
「ぼぼぼぼぼくは、金閣寺が観たい」と主張する溝口。
「いつでも観れるよ」と言っても「明日空襲にあうかもわかれへん」と答え、
鶴川はそんな溝口をみて「わかった。金閣寺を観よう」と金閣寺を観に行きます。
二人で夕焼けの金閣寺を堪能した後、やっぱり映画も行こう!と二人で町にでます。
その後石川五右衛門が「絶景かな」と言った山門に行きます。
ここでまず鶴川が両手を前後に広げて見えを切って歌舞伎の口調で「はて、絶景かなー」といい、
その鶴川にやってみなと促されて、溝口はとまどいながらこわごわ両手を広げつつ
「さて、」まで言いかけて、鶴川に「さて、じゃない。はて、だよ。さてってなんだよ(笑)」
「腕もこう」と手をしゃんとのばされながら、軽やかに笑われるのでした。
ここの二人も数少ない和みシーンです。

ここからの1年間が溝口にとって一番幸せな時期だったのだと思います。
「いつかは自分と対等に焼けるかも」という目で金閣寺を安心してみることができ、
鶴川という自分を受け入れてくれる人間と常にいることができた毎日。

その後、その山門のところで、きれいな着物をきた女性が軍人相手に自分の乳をお椀に出して、
軍人がそれを飲んで去るというシーンを二人で目撃します。
「昔近所に住んでいた女の子に似ている」という溝口。

ある日そんな溝口のもとに母親が訪ねてきます。地元の寺は売ったから、金閣寺の住職に
なるしかないとプレッシャーをかけるだけの母親。
そして「京都に空襲なんてある訳ない」と言い切り去っていきます。

そうして本当に京都に空襲がないまま終戦を迎えます。
金閣寺はまたも不動の美として立ちはだかることになります。

そんな時、米兵が娼婦を連れて金閣寺にやってきたため、
副司さんに「おまえ英語できるやろ」と押し付けられ相手をすることになります。
(ここでも「グッドバイバイ!」と言ってだめな副司さん全開です)
ここからもほぼ原作通りです。
1回目はおなかに足をのせる程度。
でも米兵にもっと踏めと言われて一度蹴ると、後はタガが外れたように蹴り続けます。

そんな自分に嫌悪し、老師の元へ行きますが、タバコを差し出しただけで
大満足をし、「どうしてもらったのか」「どう対応したのか」などは一切
聞いてこないどころか、大学に進学させると言い出します。

が、鶴川から「老師のところに娼婦が『案内役におなかを蹴られて流産した』
とやってきた」という話を聞きます。
今度こそ怒られると思ったのに、やっぱりただただ黙っている老師。
その無言が彼を余計に苦しめます。

結局そのまま大学に入る溝口と鶴川。
溝口は変わらず、鶴川に微笑みながら「お昼たべよか」と言って食べようとしますが、
鶴川は「これでは意味がない」と。このままだと友人関係が広がらないから
別々で行動しようと言い出します。※会見動画の稽古シーンはここです
この辺の気持ちって思春期に多かれ少なかれ似たような友人関係のとまどいが
あると思うので、これまた溝口の気持ちのものすごくシンクロしてしまうんですよね。
鶴川の言ってることが100%正しいのだけれど、今のこの閉じた世界で自分は満足なのにって。

そうして柏木と出会います。出会いから強烈に「自分としゃべりたがるのは、自分が
内翻足だからだ。どもりの君は対等にしゃべれる相手を見つけたんだ」と見透かしたような
ことを次々と突きつけます。その後、その内翻足を逆手にとったナンパをして
簡単に成功させ、童貞脱却の話を披露します。※会見動画の稽古シーンここです

しかし、柏木から童貞の相手は醜い老女だったと聞かされ、過去の記憶があふれます。
それは子供のころに暗闇でみた母と叔父の情事でした。
それを父は知りつつも、溝口少年に「見るな」と目隠しをするのでした。

水橋さんの柏木は年齢が上な分、迫力があって説得力があったと思います。
声も強め太めで、軽やかな水田鶴川ととてもいい対照になっていました。
同じようにコンプレックスの元をもっているはずなのに、むしろそれを武器にして
攻撃的に生きている柏木に溝口は鶴川とはまた別の魅力を感じてしまいます。


そんな溝口に鶴川は「柏木と仲良くなるのはあまりおすすめしない」と忠告します。
ですが、溝口は「ぼくみたいなんは、柏木くらいがちょうどいいんや!」といい、
さらには鶴川に詰め寄って「別々に友達作ろう言うたのはおまえやぞ!」ときつく
当たってしまいます。鶴川は母が危篤で帰らなければいけないのにこんな状態は
いやだといいますが、「そういや君はお母さんが好きやったな。やっぱり君と僕とでは見てる
世界が違いすぎるんや」と拒絶してしまいます。悲しそうな顔をして去る鶴川。

鶴川がいなくなり、溝口はますます柏木と行動を共にします。
柏木が彼女と下宿の娘を連れてきてのダブルデート。
が、途中で別々になろう、と言います。
下宿の娘と散歩をするのですが、舞台奥から右に左に歩いている間に
同じように奥から道を作るように蛍光灯のようなものが連なって上からほぼ一番下まで
降りてきます。彼らが道を折れ曲がると、その手前にまた同じように
蛍光灯が一列降りてきます。
そうして4列ぐらい降りてきたところで、下宿の娘がキスをし、自分の体を触らせようと
するのですが……。

そこで一気に今までの蛍光灯がバチバチとものすごい勢いで光り、
鳳凰役である山川さんがホーメイの声をヴィィィィィンとマイクで響かせ、
舞踏集団が不気味にうごめき、溝口は頭を抱えて叫びだします。
驚き逃げる娘。

暗い気持ちで寺に戻ると、老師から「鶴川がトラックにひかれて死んだ」と
聞かされます。
「ぼくには彼の光が必要なのに!うそや!うそや…!」
絶望に床の上で身を丸めて拳を打ち付ける溝口。

それらの不幸をすべて金閣寺のせいと思い、
「なるほど…。おまえがそのつもりなら僕の凶悪な意思がその驕り高ぶった存在の
意味を奪い去ってやる!!!」※会見動画の稽古シーンここです
と、憎しみの対象へと変わっていきます。金閣寺倒壊を願って叫びます。
「風よ吹け!もっと強く!もっと強く!!!」
ですが、鳳凰は再びホーメイを轟かせ、溝口を打ちのめすのでした。※会見動画の稽古シーンここです


ここで一幕が終わります。
絶望の溝口と不気味に響くホーメイの音とで最高潮に重い状態での幕間でした…。