柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

フランケンシュタイン読了

第1回目の時に100ページまで読んでいたのですが、残りもようやく週末に
読み終えました。

第1回の時に「誤解が多い作品だ」と紹介されていましたが、
いかに自分がこの作品を誤解していたかを改めて実感しましたし
誤解したまま終わらなくてよかった!と心底思えた作品でした。

以下、ネタバレ全開です。

全くホラーではなく(当時にしてみたら十分ホラーかもしれませんが)、
むしろとてもよくできた悲劇的文学作品。

フランケンシュタイン博士の苦悩と
怪物の哀しみと

どちらもよくわかるだけに切ないです。

特に途中「怪物の語り」として出てくる、怪物自身が「誕生の認識」を
してからの半生は、想像していたものと全く違って、
「純粋無垢な人間の赤ちゃんと同じ状態で五感を認識し始め、
隠れ家からみえる隣家の人間観察によって
素養や情緒もすべて愛と正義にあふれ成長していった」
というのは驚きでした。

そこからなぜ殺人鬼になってしまったのか。
その辺りがまさに来週第2回のテーマになると思いますが、
人間も同じく、生まれた瞬間から殺人鬼という人はいないはずで
何か原因があって悪が芽生えてしまう…その原因はかなりの割合で
やはり愛情ではないかと示唆してるのだと思います。
事実、近しい人を奪われたフランケンシュタインもその先はただただ
復讐のみに生きる意味を見出していきます。
今も毎日のように殺人事件が起こっていますが、その人が悪い、変、恐いで
終わらせずに、そういう人が育ってしまった背景を紐解く方が大事なのかも
しれません。

その意味で、その双方どちらの孤独も哀しみもわかるのですが、それでもやはり
研究の斬新さに憧れ、怪物を作りだし、放置し、自分が非難されることを恐れ
秘密にしてしまったフランケンシュタインの罪の方が重い訳で、ここについては
全科学者はこの本必読!
と言いたくなるぐらい、ここもまた現実世界をかなり示唆しているのでは
ないかと思います。実際今、かなり生命を「いじれる」ようになってきていますし。

…と、全ては今にも通じる普遍的なことなので、読んでも古臭さは
全く感じず、むしろ新鮮に読めました。

普通だったら、フランケンシュタインが告白するという体裁をとるところを、
フランケンシュタインの独白を聞く冒険家が姉にあてて手紙を書くという
入れ子の体裁にしているところも、物語の最後まで読んで、その意味が
わかりましたし、これを古典ホラーと思い込んで読まないのは本当に
もったいないことをするところでした。(欧米でも同様の位置づけなのか
今はあまり読まれてないと解説に書いてありました。なんか不憫…!)

今回この番組で朗読してくれなかったら絶対に読んでなかったと思うので、感謝です。

ありがとう、柳楽くん。
ありがとう、柳楽くんを採用してくれた100分de名著スタッフ&Eテレ

さて、もうどの場面が読まれてもOK!どんとこーい!