柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

そして、父になる

TV版はかなりカットされているので、それをもって
感想を書くなというのは重々承知なのですが、
大きなテーマは変わってないと思うので、ちょっと自分的備忘録として。




何かで是枝監督がこの映画を作ったきっかけが「自分が撮影で長らく家を空けたら
子供がちょっと懐かなくなっていた。そこで親子は血なのか、時間なのかを
考えた(大意)」と話していたのを見聞きした覚えがあります。

ということもあり、私はこの映画のテーマは「親子は血なのか、時間なのか」
という二元論だと思っていて、でも結論「時間だよね」という話だと思ってました。

が、おそらく違ったんですよね。
じゃあ、一緒に長く住んでさえいれば、多少ネグレクトしても暴力ふるってもいいのかと
言ったら、絶対に違いますし。

その象徴として福山さん演じる父親が描かれていて。
あの父親は、この事件が発覚するまでも、してからも一貫として、
「子供も自分の成果物の一つ」としてしか見てなかった。
だから思うように成果をあげない慶多を「やっぱり」と見下し
琉晴もルールを守らせることから始めようとした。
(そして、そこには自分自身の家庭環境も影響していた…というところまで
丁寧に描いているのがさすが是枝監督!)

多分、事件が発覚しなくてそのまま慶多を育ててもうまくいかなかったんじゃないか
なという気がします。


でも、むしろこの事件があったからこそ、子供とちゃんと情緒的な意味で
向き合えるようになった。

だからタイトルは「そして、父になる」。
血でもない、時間でもない、親が親に「なる」。
それが一番大事だと。

私はそう受け取りました。
逆を言えば、血がつながってなくても、仕事が忙しくて一緒にいられる時間が
少なくても、ちゃんと「父親」「母親」として向き合っていれば大丈夫。

是枝監督は一見レアな状況を切り取っているようで、観客に対して
ある意味鏡を見せて「で、あなたはどうなの」と問われている気がしてくる
テーマが多いので、忘れられない作品になるのだろうなと思います。

次作の海街diaryも楽しみです。吉田秋生も大好きなので、まさか
是枝監督の手で映画化されるとは…!