柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2024年Works「夏目アラタの結婚」「ライオンの隠れ家」CM:リクルートエージェント、金麦、香味ペースト

ネタバレなしの感想

彰義隊という題材が珍しいために、そこ推しになってますが、
やはりこれは「青春映画」として観た方がハマると思います。

ただ青春映画の背景として、「お上に命を捧げる」という現代にはない思想があるため、
他にはない青春映画として成立している、そんな映画です。


3人とも、完全に分別がついている年齢でもないから、
誇示したり、嫉妬したり、突っかかったりとその不完全な部分を
互いにぶつけ合う。
でもそれは同時に信頼していたり、慕っている証拠でもあり、
この絶妙なバランスこそが「男の子の青春」なのだと改めて思うのです。

原作を実写化すると、どうしても肉質感が出てしまうのですが
(杉浦さんの絵は淡泊なだけになおさら)
その肉質感が浮かないようにするための、そういったキャラクターの肉付けが
非常によくできているなぁと思いました。
(瀬戸くんもパンフで渡辺さんが3次元にするために僕らに寄り沿ってくれた、
とありましたが、まさに!でした)

原作にないちょっとした会話のやりとりが追加されることによって、
原作だと勢いでふわっと進む部分もちゃんと違和感がなくなっていくのです。

そして、そのキャラクターを冒頭で印象付けるのが、先ほどの舞台挨拶で
柳楽くんも言っていたシーン。私もここを観た時に意図もよく伝わってきて
好きなシーンだったので、あそこでピンポイントで出てきて本当にびっくりでした。

そこも含めて、全体的にカメラアングルがとても好きで、
特に艶っぽいシーンはとても好きでした。
こういうシーンって何気に難しいと思うんですよ。
「ただ撮りたかっただけでしょ」と思えるようなものだったり、逆に
「女優さんがNG出したのかなー」と思うようなリアリティのないものだったりすることが
意外に多いので。
でも、この作品のあのシーンなら、その描き方だよね、でもちゃんと艶っぽいよね、
と思うドンピシャだったので、非常に気持ちよく(っていうと変ですが・笑)見れました。

ちなみに、原作を読んだ時はダントツで極好きだったのですが、
映画を観たら、森さん(オダギリさん)がよくてですね…!
原作はもうちょっとふわっとしてるのですが、映画の森さんはもうちょっと
自分の意思が明確で、よき上司なんです、ほんと。

極は、原作よりほんと人間っぽい。感情寄りというか。
戦い以外でも意思がはっきりしていて、自分の思うまま行動する。
おそらく、当時の彰義隊の強硬派はこういう人達がたくさんいたんだろうなと
思わせる、この時代の象徴的な人。
そして、当時は絶対こういう人がモテたんだろうなと(笑)。
この肉食系男子な感じがたまらないですね。

ちなみに柳楽くん。
やっぱり時代劇の画がハマるし、やっぱりスクリーンに映えるし、
やっぱり横顔が美しい。
…と思うのは、やはりカメラアングルがガツッとはまってる証拠なんだろうなぁ。
演技について触れようと思うと、ネタバレになりそうなので、ここでは控えますが
こういう一本気にガツガツ進むキャラって、それこそ信行ぐらいという気がする
のですが、こういうの合うと思うので、もっとやって欲しいなと。


対して柾之助は、当時はそうは言っても少数派だったろうし、
こういう人はモテなかっただろうな、という人。
でも、今の時代はこういう人がメインだし、こっちの方がモテる。
それをまた瀬戸くんがちゃんと「こちら側」が感情移入しやすいように
演じているので、すごくよくバランスがとれていたんじゃないかなと。

で、悌二朗はその合いの子というか。考え方は最も聡明で現代的なのに
感情の出し方は極と似ていてストレート。だからこそ、二人に共鳴もするし、
反発もするし、見捨てることができなかったんだろうと。

そういう人物を昔に思いを馳せながら、今観る面白さっていうのが
ある気がします。

でもそんな子達の青春も、当時の信念によって切ない終わりを遂げる。
彰義隊を観てると、これって後の特攻隊と同じだよなと思うんですよね。
本人たちはそれが最善と信じて、負けるとわかっている戦いに前のめりで
向かって行ってしまう。

極は幸せだったんだろうか。
合葬の結末を読む度に切なくなりますが、この映画を観てその思いがさらに強くなりました。

後はもうネタバレなしで書けないんですけど、最後に1つだけ文句を言わせて
いただくと、予告…!
予告が実は盛大なネタバレをしていたとわかった瞬間に、ぴぇー!となりました。
や、予告の作り大好きなだけに!