柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

「誰も知らない」2回目鑑賞感想

初回版手に入れました。
2年ぶりに2回目の鑑賞。

その間に、というか、この1ヵ月くらいに急にめざめて(笑)
当時のインタビューやらパンフやら色々と読んでみた結果、
1回目がいかに「間違いの王道」の感想をもったかがわかりました。

ご多分にもれず、私もネットで実際の事件の経緯を知ったのですが、
あの有名なページはある意味是枝監督の言う「センセーショナルな部分」しか
切り取ってないんですよね。だから、あれを先に読んじゃうと映画が
「甘いじゃん」になってしまう。

でも監督は「事件」を描きたかったんじゃないんだ。
あの事件の中で「お兄ちゃんはいっぱい食べさせてくれた」と妹が言った長男、
母親と面会した時に自分を責めて号泣し、
(自分なりにだけれど)埋葬した妹を何度もお参りした長男、
アダルトチルドレンになるしかなかった長男、
それだけを描きたかったんだ。

だから実際の事件と経過が違ってもいいというか、
むしろ違うことによってよりその長男を浮き彫りにしたかったんだなと。

(ただし、「センセーショナルな事件」が真実とは限らないのと同じく
長男の「美談」もどこまで本当かはわからないけれど)

それと、改めて足とか手のアップが多いんだって気づきました。
(監督曰く、子供の手足が好きだからってことらしいけど・笑)
1回目はそこまで観る精神的余裕がなかった(苦笑)
足や手の動きだけであれだけ感情がわかるもんなんだ、ってその演出のセンスに
改めてびっくり。
これはドキュメンタリー出身だからこそのノウハウなんだろうな。
ドキュメンタリーに出る人って素人もいる訳だし、そうでなくても人って映画ほどなんでも
口で説明するわけじゃないし、そうなると手とか動きをカメラで追うこともあったんだと思う。

語らせすぎない。
これが筋書きがあるにも関わらずドキュメンタリーに見えるだろうな。


ってことで、本題の柳楽くん(笑)。
いやー、スタートは小さい。
んで、おそらく最初の頃の撮影で本気でモジモジしてる感じが
ちょうど引越しのソワソワや隣人の挨拶になってて、
監督うまいなーと。
で、最初のシーズンはよくよく見返すとセリフもめちゃめちゃ少ない。

それが冬になって演技に慣れた頃にYOU演じる母親もいなくなるタイミングが
ぶつかって、グンとセリフが増える。
それでもまだ冬は長めで感情抑え目のセリフ
(例えば、ゆきに言ういつかモノレールに観に行こうねとか)
はちょっと固さがあるんだけど、これが春夏になると完璧に役者になってる。
いやぁ、改めてこの成長に感動。

目線や表情、佇まいの良さは1回目で既に堪能しているので
敢えてそれ以外をチェックしてたんですが、

やっぱり目線にやられてしまいますね……(笑)

んで、残りの4人の子もやっぱりすごいんだなぁ。
監督が「組み合わせのよさを考えた」って言ってたけど、今回見直して改めて
本当に組み合わせがよかったんだなぁ、と。

そして!
YOUのすごさにも今回気づきました。
秋冬はYOUでもってたんだな、と。



1回目はつらい筋を追うのに一生懸命になって、心のあらゆるところを刺されて
冷静に見ないと、ってそれだけでいっぱいになってたけど、
頑張って2回目を観たら上記のような演技や演出で気づいたところが
いっぱいあったし、何よりあの子供達なりの幸せを感じることができました。

あー、監督が感じて欲しかったのはこれか、って。

ストーリーのつらさや悲しさややるせなさは変わらないのだけど。
でも、ラストはあれでよかったんだ、というか、あそこで終わらせるしかないんだって
思えるようになりました。


よかった。見返して。