柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

舞台感想ネタバレ編

1日たってしまったので大分抜けてしまってる気もしますが(汗)
ネタバレ編書きます。(ネタバレなしはこちら

今回は「原作ネタバレ」と「演出ネタバレ」があると思うのですが、
比較的「原作はもう読んでるよ」という人が多いと思うので、
原作ネタバレはこの下に、演出ネタバレはさらに白文字(反転)で書きます。

原作ネタバレはいいけど、演出ネタバレはいやという人は反転しないよう
お気を付けくださいませー!
時間たったので、白文字はやめました(2015/8/21)
(と言っても、私の記憶力はほんとやばいのでそこまで詳細はネタバレはしません・笑)

後、記憶違いもきっとあると思います。
気づいた方はご指摘ください。観ていない方はあくまで参考程度にしてください^^;

※そうは言っても結構色々書いてます。基本的には自分の備忘録なので、
「これから舞台を見る人」は読まない方がいいです。
「どうしても舞台を見られないのでちょっとでも知りたい人」
「もう観たし、今後観る予定はない人」
が参考までに読むことを想定しています。



4時間という長丁場とはいえ、原作の内容を考えたら当然短いんですよね。
どう料理するのかなと思ったら、はしょりつつもストーリーそのものは原作通りでしたし
セリフはかなりの部分が原作からもってきた印象でした。

最初は暗闇。そして奥の上の方から光が照らされた状態で始まります。
その中で静かに様々な透明な巨大ボックスが運ばれてきます。
それぞれボックスは原作を読んでいたら「ああー」と
思うようなものが入っていて、1つ1つがミニセットとなっています。
この演劇全体がこのミニセットの組み合わせで進んでいきます。

その巨大ボックスの中で、奥の光があたっているボックスがあります。
カフカが眠っています。

一通りのボックスが出ては消え、カフカのボックスも一旦消えていきます。

※この眠っているカフカを見た時に泣いてしまいました。
セリフがない登場シーンだったので、緊張よりも役者として目の前に柳楽くんがいるという事実が
浮き彫りになったのかなぁと思います。

ただ、このボックスの入れ替えが本当に人力なので大変そうでした!
冒頭の1つのボックスでは運んでいる黒子さんの1人の靴がはさまってしまって
ものすごく慌ててたり、舞台の脇でガチャンドスンって音が聞こえたり。
初日ならではのドタバタがありました。
それでもこの演出方法で大正解だったんじゃないかなぁって思います。
ムラカミハルキの世界観、2つ3つのストーリーが同時に進む場面変換を考えると
しっくりきます。

再び出てきたミニボックスは書斎セット。カフカの家ですね。
ここでカフカとカラスの会話が始まります。旅立つ時の上巻冒頭の会話です。
柳楽くんは第1声からちゃんと張りのある、落ち着いた声でした。
演劇用に少しおなかから声を出しているのか、15歳という設定で少し高めの声にしているのか
映画とはまたちょっと違う声です。
本当にかなり近い距離で観劇していたのですが、その距離でも震えているようには見えませんでした。

カラス役の柿澤さんもキレイなお顔してる方ですね~。
この方も一度も噛まなかったと思うし、難しい役柄を自信をもって演じているように見えました。
すごいなと思ったら劇団四季出身なんですね。どうりで!

その次は録音テープをまわしている部屋セット。
戦後の聞き取り調査シーンですね。

また変わってサクラとSAでおしゃべりするシーンへ。
サトエリさん、以前の初日舞台挨拶の時はわからなかったんですけど、胸以外はほっそりしてるんですねー!
うらやましすぎる。
サクラが登場するまではピンと張りつめた会話が続いていたので、
マシンガントークでちょっとなごみました。
カフカくんは人としゃべるのが得意じゃないのでちょっとキョドるんですけど、
その感じも「普段の柳楽くんがきょどる」感じとはまた違うんですよね。
ちゃんとカフカとして所在無げにいるんです。

で、次が猫さんとナカタさん!!
もうー、癒されるわーっ!
シャム猫のミミもエレガントである意味イメージ通り(笑)

で、高松ついて図書館。
長谷川さん、やっぱり大島さんのイメージ通りーー!
すらっとして、色白で、ユニセックスな感じそのままでした。

この辺までは割と上巻をそのままなぞっている感じでしたが、ここから
ちょっと端折っていきます。
まず、高松ついてから血まみれになるまではモノローグですっとばします。

サクラのところにいくシーンでは、原作にもある性的シーンも入っているんですが、
(観るまで全然考えてなかったのですが)ここも含め結構柳楽くん、脱ぎます。
原作考えたら当たり前っちゃ当たり前だし、演劇はそういうもんなんですが、
初舞台でよく頑張ったなーとそっち方面でも感心してしまいました。
身毒丸ほどではないですが・汗)

そうそう、舞台では「サクラ=お姉さんという想像(仮説)」というのはほとんど出てきません。
そもそも「お前はいつか、その手で父を殺し、いつか母と姉と交わることになる」という呪いのくだりも出てきません。
上演時間におさめるために、ある意味カフカと母親に焦点をおいてメリハリをつけたのだと思いますし、
私はそんなに違和感ありませんでした。

で、一方でナカタさんもさくっとジョニーショーカーと会います。
ここからナカタさんがジョニーウォーカーに手をかけるまでの一連のシーンは
本物の猫ではないにも関わらず、結構リアルな演出になっていて、直視するのが
ちょっとはばかられるぐらいでした。
でも、ジョニーウォーカーもイメージ通り!
この2人のやりとりは見ごたえありました。
ナカタさんが最後の行動に移す時の切ないことといったら…!

一方カフカは図書館で暮らすことに。
ここから佐伯さんとの関係が深くなっていくのですが、原作の徐々に佐伯さんに心奪われていく
過程はかなりばっさりいって、いきなり深くなってしまうので、原作未読の人はここついて
いけるかなーと心配になりました。
でも、田中裕子さんの佐伯さんも「佐伯さん」でしたね~!!
正直最初のキャスティングを見た時はちょっとイメージと違うかなーと思ってたんですが、
やっぱり女優さん!半分現世にいないようなふわっとした、それでいて今尚色気のある様子は
紛れもなく佐伯さんでした。

あ、途中、例の女性調査員のシーンがあるんですが、ここはコミカルで小気味よくて笑ってしまいました。
カフカ、カラス、佐伯さん以外はどこかしら笑いをとれるシーンがあるので、柳楽くんも
「おれも笑いとりてーなー」とうずうずしないかなーと思ってしまったり(笑)

ナカタさんは、ジョニーウォーカー殺しをして、警察に出頭してからはさくっと四国に渡ります。
いつの間にか星野ちゃんのトラックにのって。
星野ちゃん役の人は最初のセリフ緊張してた気がします。手もちょっと震えていたような。
舞台慣れしている人でもやっぱり緊張しますよね。

--上までが4日に書いた分、下からが5日に書いた分です--

星野ちゃんのパートも大分さっくり整理されていますが、カーネルサンダースさんは
出てきます。そしてこれまたいい味出してる!
想像通りの人物が想像通りの会話を目の前で再現してくれるとほんと嬉しくなりますね。

一方、佐伯さんとのシーンでは、「15歳の佐伯さん」も少しだけ出てきます。
ただ、あの画については一切語られません。なので、パンフレット上の役柄も「少女」としか
紹介されていません。
でも、あの歌にちゃんとメロディがついて彼女が登場します。

冒頭のカフカの透明ボックスと同じく、透明なボックスに丸く横たわって少女が登場するのですが、
それだけでとても幻想的で観念的で「ここにはいない人」ということがわかって素晴らしいなと思いました。

その後の母かもしれない佐伯さんと寝るシーンがある訳ですが、ここも同じくらい
「透明ボックス」演出の素晴らしさを感じたところでした。

ぶっちゃければ母子相姦かもしれない訳で、人によっては嫌悪感を持つ人もいると思うんですが、
「透明な壁の向こう側」とすることで、現実味がなくなり、物語(もしくはメタファー)として
受け入れられるようになっているんだと思います。
(つって、私はあまりメタファー的な考え方が得意じゃないのでその辺はあまり突っ込まないでください・笑)

えーっと、だんだんと時系列が怪しくなってきました。(2日たった私の記憶力なんてこんなもん…)

その後、大島さんに「警察がきたけど、君を見かけてないと言った」というシーンがあるんですが、
そこの
カフカ「大島さんまでには迷惑をかけたくない」
大島さん「君はすでに僕に迷惑をかけてるんだ」
というやりとり、原作通りなんですけど、原作では受けなかったショックを受けました。

多分、原作以上に自分が「カフカ目線」になっていたんだと思います。
だから、優しかった大島さんに「すでに迷惑をかけてる」と一刀両断されたことに
動揺してしまいました。

それと、原作以上に染みたセリフがもう1つあって。
佐伯さんとの会話でカフカが言った
「僕が求めているのは勝ったり負けたりする強さではないんです。
僕が欲しいのは、外からやってくる力を受けて、それに耐える強さです。
不公平さや不運や悲しみや誤解や無理解---そういうものごとを静かに耐えていくための強さです」
という部分。(セリフは原作本から引用)

これはカフカのセリフだけれど、柳楽くんのセリフでもあるのかなと。
蜷川さんが
「14歳でカンヌの賞を取った後の柳楽くんは、すごく困難な道を歩むだろうと想像していました」
と言っていたそのものの道を歩んでいた柳楽くんにとってこの「強さ」こそが求めていたものだと
思えたんです。

さてその後、カフカは山荘へ身を潜めることとなり、ナカタさん達は入口の石をひっくり返して
佐伯さんに会いに行きます。

山荘近くの森に分け入ってはいけないと言われるカフカですが、森に入っていき
異世界へと踏み入れ、佐伯さんとの最後の邂逅シーンとなります。

ここだけ原作とは大きく変えた演出になっています。
といっても、ストーリーやセリフ自体はそのままなのですが、
カフカが泣くのです。

原作のカフカは「笑う」のも「泣く」のも最後の最後なのですが、舞台ではココに持ってきていました。
でもそれによって邂逅シーンがより鮮明になったし、カフカの心の動きを文字として読める本と違って
「ここでカフカの心が解けた」というのを伝えるためには最善だったのではと思います。

そして、ナカタさんは静かに息を引き取ります。
星野ちゃんの「悪い死に方じゃねぇよな」が沁み入ります…。

最後は大島さんとの会話です。
霧のような小雨が降っています。
「君はこれからどうするつもりだい?」
「東京に戻ろうと思います」
そして、カフカが微笑みます。
「君が笑うところを初めて見た気がする」
あぁ、そうでした!
原作でもそうだったのに、目の前の展開にのめりこんでいてすっかり忘れていたので
笑ったカフカを見て、ふいうち食らいましたよ!
「ふわぁ!笑った!」と、ハルキ作品でうっかりちょっと萌えてしまいました(笑)

そして、そこにサクラから電話がかかってきます。
ここもちょっと原作とは変えていて。

東京に戻ったら会おう。
キミは弟みたいだし。
(セリフうろ覚え)

原作はカフカが「お姉さん」というのに対して、舞台ではサクラが「弟みたい」と言います。
これは上にも書いたように母親にフォーカスした分、こちらはライトに描かれているのかなと
思いました。

そして、電話を切り、大島さんとも別れます。
別れ際カフカは言います。
「さよなら、大島さん。そのネクタイとても素敵だよ」
「いつそれを言ってくれるか、ずっと待っていたんだ」
微笑む大島さんが消えていきます。

小雨が降る中でカフカのモノローグ。

そしてカフカも暗闇の中へと消えていきます。


---End


ぐっはーーーー!長い!長かった!
すみません。私の文章力じゃ読んでも飽きますね。
そして、伝わるもんも伝わらないですね。

途中でほんと書くのやめようかと思ったんですが、
もうほんと自分の備忘録と割り切りました。

でもこうやって思い起こしながら書いていたら、
自分なりのカフカの世界の解釈ができてきて
なんだか無性に語りたくなってきました。

あと2回観劇してどう自分の感じ方や解釈が変わっていくのかも
ちょっと楽しみです。