柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

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[ナレーション] ノンフィクションW 八十歳の漂流俳優 ヨシ笈田 三島が託した日本

もう3年も前。
金閣寺トークショーで柳楽くんが話題に出していたものの、
WOWOW契約してなかったので観れずにいた番組。

 ノンフィクションW 八十歳の漂流俳優 ヨシ笈田 三島が託した日本
(2014年)

柳楽くんがナレーションをした番組です。

この間の土曜スタジオパークでご一緒したsunrisekeiさんから、
大事なものでしょうに、お貸しいただけて観れました!
いつも素敵で親切なヤギラーさんとの出会いでヤギラゴトが充実しています。
ありがとうございます…!

で、この番組が、本当によくって!
恐らくですが、柳楽くんの俳優人生にも多少なりとも影響してるんじゃないかと
思うんです。
大事な一本です。
これを知らないままじゃなくてよかった…。

ということで、内容をざっくりとお伝えしたいと思います。

ヨシ笈田さんは三島由紀夫がかつて演出した舞台に抜擢された俳優。
現在80歳。(放送当時)
パリ在住独身一人暮らし。
「俳優漂流」という自著は世界17か国に翻訳されて、
フランスの文化勲章も受賞している。

この方の発する言葉は重みがあって研ぎ澄まされていてとても素敵。

「いい俳優の演技を観ていると『あ!心が、お風呂に入ったみたいに
洗われた』っていうそんな感じがする。そういうお客さんの心を
洗うことができるような俳優になればいいと思うけれど、
それは大変なことで、どうやっていいかまだ未だにわからないです」

(毎朝お線香を炊いて鐘を鳴らすことについて)
「五感を目覚めさせて第六感を感じればいいなと思って、毎朝それをやってる」

(1年の半分は世界各国を渡り歩いていることについて)
「思考も漂流しないと固まるし、肉体的にも漂流しないと
そこだけに留まってしまう。(中略)動いたら動いただけの収穫がある」

(フランスの自身主催の演劇ワークショップの中での言葉※フランス語訳の字幕より)
「日本では”序破急”という言葉があります。
”序”は始まり、”破”は発展、”急”は速いという意味です。
ゆっくりと始まり、少しずつ盛り上がりクライマックスがやってきて終わる。
私たちの生命はそういうものです。
俳優は人間の生命を演じなければなりません。
全体の中でどこまでが始まりなのか。
どこから発展させていくのか。
どのようにクライマックスに到達して、終わらせるのか。
3つに分けることができます。
そうすればすべてに生命が吹き込まれます」

(自身について)
「一生も”序破急”があって、僕はもう”序破”がきて、今のところ”急”で
一番最後のどうやって終われるか。終わりが大切だから、終わりが難しい」

(80歳の現在について)
「見てくれは孤独かもわかんないけど、それはでもリアル世界だけが
自分の生活だと思えば悲しくもあり、自殺したくなるかもわかんないけども、
でももう1つ、もう少しいって質のいい存在の仕方もあると思えば
あまり孤独っていうのは感じられない」

これらの言葉にもズンときたのですが、
この番組を観て一番感じたのは、改めて芝居というものは、体を動かすこととセット
なんだなということでした。
笈田さんは80歳にも関わらず、常に体を動かしていました。
それは、以前のリーストラスバーグの学校でもそういえばそうだったなと
思い出しました。
感情は言葉には出さなくても行動には出る。
感情と行動はセット。

柳楽くんが劇団に興味を持っているのは、この番組も少なからず
影響しているのかなぁと思ったりもしました。

ちょっと横道逸れますが、途中三島由紀夫にもらった手紙と甚平を
紹介していた時に番組スタッフが「パリに来た時に最初に着たんですか」と
投げかけたら、両手を顔で覆って泣かれたんです。
「人間生きていると色々なことがあって、嬉しいこととか
ありがたいこととかそういうのがいっぱいあって、で、
だんだんと年取っていくんですよね。別にどうってことはないけど
そういう思い出がアチコチにあって、それが繋がって人生があって」
と。
あの質問に対し、どうして泣いたのか、どうして上の答えになったのかは
推し量るしかないですが、とてもいい涙だったし、
80年生きているからこそ流せる涙だなと思いました。


そして、最後になりましたが、柳楽くんのナレーション、
かなり低めに落ち着いた声で本当に素敵。
前も書いたかもしれませんが、ナレーションのお仕事はもっとやって欲しいです。
ナレーションのお仕事そのものも勉強になりますが、
こうやって番組内容そのものが新しい刺激になると思うので。

ちなみにこちらの番組は2014年時に
衛星放送協会オリジナル番組アワード ドキュメンタリー番組部門最優秀作品賞
を受賞しています。
本当に素晴らしいドキュメンタリーでした。

思わずディレクターのお名前でググったら、やはりとても優秀な方のようです。
今もご活躍してるのかな。
(この方が所属している「オルタスジャパン」の社長ブログより)

初心に戻ってがんばります