柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

[夜明け・柳楽優弥]感想ネタバレ編

封切したので、ネタバレの感想書きます!
しかも昨夜、自分の中の最後のピースがハマったんです。

PCの方は右下の「ネタバレ感想」をクリックで読めます。





この映画の大枠は「自分の名前を一度失い、それを取り戻す物語」だと
思っています。

光は、最初こそごまかすためだけに嘘の名前を言ったのだと思いますが、
無条件に受け入れてくれるテツさんと接する中で
そしてテツさんに「息子の喪失がある」と知る中で
「このままここで居場所を作って違う人生を歩めるかも…」という甘い誘惑にかられてしまった。

テツさんはテツさんで、たまたま助けた人が「シンイチ」と名乗り、
息子がなくなった時と同年代だったことから
「このまま息子の代わりになってくれたら…」という気持ちが働いてしまった。

ここからある種の共依存が始まるのですが、この映画
「夜明けのシーン」から始まり、途中1回「夕焼けのシーン」が入ります。
この「夕焼けのシーン」がどこに入るかというと、
「パチンコ店を眺めていたら突然肩を叩かれ逃げるように林に入っていったシーン」

「帰宅して仏壇の息子の写真をあげるシーン」の間(のはず笑)です。

つまり、この直後に髪を脱色するんですよね。
夜明けからこの夕焼けのシーンまでは一応まだ「光」だったのですが、
この夕焼けのシーン以降は「光を捨ててシンイチになる」のです。
そして、この映画のラストは再び「夜明けのシーン」。
ここで「シンイチは光に完全に戻る決意をした」のかなと思います。

つまり、夕焼けからラストまでは「光(太陽という意味の光と、名前のヒカル)」
を失っていて、ラストに両方の光(ヒカリ、ヒカル)が戻る、という
ダブルミーニングの構成になっているのでは?と思いました。

え?そんなのとっくに気づいてた??
すみませーーーん笑。

私は昨日突然気づいたんですよね
や、夕焼けのシーンがなぜあそこで1回入るのかはずっと気になっていたのですが
「光を失って取り戻す物語」ということに気づいたのは昨夜で笑。

それにしても、『夜明け』って実は2回目が一番面白いのでは?と思います。
双方の過去を知って観ると

・冒頭のシーンの状況がわかる
・出会って最初にテツさんがタバコを吸うのを見る光が、話の流れでは
「ただタバコの煙やにおいを気にしている」感じに見えるけれど、
実は事件と関係するアイテムだった
・最初にシンイチと名乗った時にテツさんが一瞬止まり、かつ「よくある名前だな」
と自分に半ば言い聞かせるように言っている
・木工所メンバーにもシンイチと名乗った時に一瞬みんなハッとした空気になる
・髪の毛を染めたシンイチを見る時のテツさんが大分思いがこもっているww
(「いつシンイチが好きになったか」で言うと、ここなのかなぁと思ってますが
どうなんだろう)
・(パンフレットにも書いてありましたが)服装が髪を染めているパート
は息子さんの服を着ていて、黒髪に戻してからは自分の服にほぼ戻している

等々、発見がすごく色々あるんですよね。


それにしても考えれば考えるほど、なるほどなぁとなる映画です。
光は「ここなら居場所があって新しい自分でやり直せるかも」と思ったのに
気づけば今度はテツさんが結局は「父親」ポジションになって
職人という生き方を強制し、過去の事件は他には話すなと命令し、
何にも状況が変わってないことに気づく…。

自分でやったことから逃げるなんてことはできなくて
自分の名前で、自分の足で、進むしかない。

一方でテツさんはテツさんで息子代わりの人に結局同じことを
押し付けてしまう。
凄く印象的だったのはラストにテツさんが「シンイチ!」「シンイチ!」と
呼んだ時には止まらずに「ヒカル!」と呼んだ時には光は止まって振り向いて
くれたのに、そこで何も言葉を発さなかったこと。
結局テツさんは「シンイチ」にしか用がなかったんだろうなぁ。
「ヒカル」として止まって振り向いてくれても「ヒカル」にかける言葉は
持ってなかったんだなぁと、切なくなりました。

その意味では、光には夜明けがきたけど、テツさんの方が救いがないですよね…。
「宏美ちゃん」とはちゃんと「代わり」ではなくうまくいって欲しいなぁ。

最後に柳楽くんの演技。
私自身は別に「演技のプロ」でもなんでもないし、単なる素人目ですが、
柳楽くんが役者として目覚めた以降で最高の演技だったと思います。

個人的に最高の役作りって、究極「役作りをしない」だと思うんですよね。
(もちろん作品によってなのでキャラクター性が強いものは役作りありきだとも思いますが)
今回はその意味では本人も話していたように、最高の受け身演技だったと思います。
リアクション演技が過去最高に上手かった!

凄いなぁ。
ここ数年の演技の上達っぷりが半端ない。

私はファンであってもなるべく客観的に評価したいと思っているのですが
(実際できているかどうかは別ですがw)
確実に演技が進化しているなと思います。

ますますこの先が楽しみです!


はー、ネタバレ気にせず書けるって幸せ(*´ω`*)