柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

広瀬奈々子監督インタビュー

是枝監督が認めた愛弟子が、デビュー作『夜明け』にかける想い

ー分福に入って7年目、これまではどのようなお仕事を?

広瀬:最初の3年間は是枝さんの監督助手をしていました。いわゆる助監督とは異なる分福特有のポジションで、企画から編集までずっと監督のそばに付いて「それは違うんじゃないですか」と意見する役割です。

ー新人なのに、監督に意見するんですか?

広瀬:初めて付いた作品が『そして父になる』だったんですが、「次で決めなきゃ撮り終わらないぞ」という空気の中で「違うんじゃないか」と現場を止めなきゃいけないのは、本当にきつかったです。怖気づいていると是枝さんとプロデューサーから「言って!」と急かされて、泣く泣く意見するんです。でもそれが採用されると、やっぱり嬉しいんですよね。限られた時間の中でどれだけ良いアイデアを出せるか、監督も含めて「勝った」「負けた」と緊張感が漂う中バトルする感覚が楽しくて、「もっと良いアイデアを出すぞ」と闘志を燃やしていました。

この監督助手という仕事、この間読んだ西川美和監督の「映画にまつわるXについて2」で
知ったのですが、これすごい仕事ですよね。
監督にジャッジを下すという仕事!ひりひりするなぁ。
この西川美和監督の本の中にも広瀬奈々子監督が監督助手でついたエピソードが
いくつかあって、凄く面白いので機会があればぜひ。


ー『夜明け』を観させていただきましたが、秘密を抱えている青年を見ず知らずの初老の男性が助け、二人が関係を築いていくという、密やかながら人間同士のやり取りが繊細に描かれた作品でした。この作品に込められた監督の想いは?

広瀬:これまで書いた15本のプロットも含めて、どの作品でも興味の対象は変わっていなくて。3.11の震災時に感じた社会や自分に対するモヤモヤとした気持ちを形にしたかったんです。なんというか……、震災以降の仕事が決まっていない半年間は自由だったけれど、行き場のない何かが自分の中にありました。そういう悶々としたものを抱えた主人公を軸に、社会的な目線や家族への依存、権威に対する不信感などを組み合わせています。


ー監督として初めての撮影現場も、監督助手としての経験と性格から落ち着いて対応されていそうですね。

広瀬:いや、波乱万丈でしたよ(笑)。初めての作品なのでなるべく濃密な時間を過ごせるようにと、プロデューサーが“合宿スタイル”を提案してくれたんです。千葉の房総で約3週間、スタッフ・キャスト一同で寝食を共にしました。主演の柳楽優弥さんが積極的に働きかけてくださって、休みの日にはスタッフと一緒に映画に行ったり、悩ましい場面も夜中にとことん話し合って翌日に挽回できたり、関係性が築きやすかったのはありがたかったです。

柳楽優弥さんや小林薫さんなどそうそうたるキャストですが、物怖じしませんでしたか?

広瀬:普段は人前で話すのも苦手ですが、現場に入ってしまえば不思議と物怖じしないんです。「作品を良くしよう」というシンプルな思考になれて集中できます。それに私だけでなく、スタッフ・キャストも同じように思ってくれているのを現場ですごく感じたので。特に柳楽さんや小林さんは「本当にこれでいいの?」と何度も問いかけてくださったんです。私自身リーダーシップがすごくあるわけではないので、周りの姿勢に引っ張っていってもらった感覚が強いです。


合宿スタイルいいですねー!
そして柳楽優弥の座長感!!
大人になりましたなぁ…(感慨深い)
ううう、早く観たい!(というものがたくさんあるのが幸せ♡)