柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

『夜明け』撮影監督髙野さんインタビュー

去年4月の記事を今頃たまたま見つけました。
監督ともまた違う視点ですし、何よりドキュメンタリーとの違いを
とてもわかりやすく話されてますので、凄く面白いインタビューです。


ぜひ全文も読んで欲しいのですが、ここでは柳楽くんに関する部分だけピックアップ。

[モノレゾ〜モノつくりの解像度〜]Vol.03 「夜明け」撮影監督・髙野大樹に聞く、ドキュメンタリーとフィクションの狭間でカメラを回すということ ※作品ネタバレあり

ーー(是枝監督作品の撮影監督をしている山崎裕さんが髙野さんの師匠ということで)映画の内容も「親と子」で不思議なつながりを感じますね。

僕と山崎とは、親と子ほど年が離れていますしね。それでキャストが柳楽優弥さんに決まった時には運命を感じたと言うか(編注:是枝監督の「誰も知らない」柳楽優弥は鮮烈なデビューを飾った)。楽しみであり、師匠の通った道を行くというプレッシャーも…。興行成績も含めて比較もされるかもしれないですし。手放しで喜べない複雑な気持ちではありました。

広瀬監督だけじゃなく、撮影監督も同様の「師匠プレッシャー」があったとは!

ーープロットをはじめて読んだ時の感想はどのようなものでしたか?

長い尺の脚本を読み込むのもはじめての体験でしたが、わかりやすくカタルシスが準備されている脚本ではないことに、戸惑いました。主役の柳楽さんのセリフはものすごく少ないわけですよ。測りきれない感じを受けました。

映像で見ると行動と表情で観客は多くのものを受け取りますが、
台本で文字だけだとセリフが少ないってすごい大変ですよね。
改めてディスベビの泰良って大変だったんだろうなぁ…。

ーー順撮りだったそうですが、ファーストカットの川辺のシーンはすんなりいきましたか?

柳楽さんがそこに立った瞬間…今でも覚えていますけど、なんですかね、一瞬にして全てが決まったというか。距離感も全て。セリフがないシーンなので、僕の中でイメージを掴みきれてなかったにもかかわらず。

こういうのはきっとカメラマンにしか体験できない感覚・感情だと思うので
ちょっとうらやましいです。素敵な瞬間。

ーー距離感というのは?

ここで作ったカメラと役者の距離感が、話の最後まで一貫した距離感になるだろうなと思っていました。ドキュメンタリーでは最初に対象者に会った時に、どれくらいの距離感で撮るのかっていうのを決めるんですね。ズバっと懐に飛び込んでいくスタイルだったり、じっくりと観察者の視点に立ったり。僕はどちらかというと観察者視点で撮ることが多く、それを踏まえて監督は僕を起用したんじゃないかと思います。

これはのちに広瀬監督も言ってましたね。
髙野監督の距離感が好きだったと。

ーーこの映画がどうラストを迎えるのか想像がつきませんでした。ラストシーンについても教えてください。

最後は、夜明けの中、柳楽さんの強い表情で終わります。でもそれは、予定していたカットではなかったんです。僕たちはバックショットを撮っていて、監督のカットがかかったんですが、柳楽さんは動かずに海を見ていました。僕は、カメラを持ったままスルスルと前に回り込んでみると、柳楽さんがあの顔になっていたんですよね。

そのまま回しました。柳楽さんのパワーに押されて、距離感を保つとかいった理性的な判断がぶっとんで、圧倒的なお芝居に撮らされました。完全に飲み込まれた。お芝居に夢中になって撮ってしまったんです。

広瀬監督も感動したラストの柳楽くんの表情。
カメラマンのこの言葉、「一番最初の一番近くの観客」として
こんなに嬉しい言葉はないですね。
ちょっと泣けてしまう。
『誰も知らない』で撮影助手をしていた方と再び
しかもカメラマンと役者としてお仕事をして
こんなに魅了する役者さんになったんだ、と。

柳楽くんを好きでよかったなぁ。
10代の時に背負ってしまったプレッシャーを、
今こうして着々と飛び越えていく。
大好きだー!