柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

松本監督インタビュー

Twitterで触れておきながらこちらに載せるのが抜けていました。

『最後の命』 松本准平監督 インタビュー
今回は柳楽くんというより映画の方に注目してのピックアップを。
ちなみに結構突っ込んだ内容になっているので、これから観るという方で
ネタバレは勘弁という方はご注意を…。


部屋の区別は意識的に考えました。最初の第一案の段階では、まだ雑多な感じで、それぞれの部屋の区別はあまりなかったんです。でも、せっかく二つの部屋があるし、「2」というキーワードはこの作品の中でとても大事なので、外に向いている空間と、内にこもっている空間でハッキリ区別した方が良いかな、と思ったんです。

あの部屋は印象的でした。
いや2DKの間取りとしてはよくあるものだとは思うんですが、
ダイニングから見た2部屋
冴木がきた時の移動
桂人が死体を見つけた時
殺人が起きた後の空間
これ以上細かく言うとネタバレになるので省きますが、
その切り取り方が明らかにちゃんと撮る側のメッセージを感じるんですよね。

「死に惹かれる」というか、もうやめたいんじゃないですか、生きることを。彼にとっては、すごくつらいことだと思いますね。生きる心地がしないので。「死 んだ方が良い」とは思っているかもしれないですね。原作では、「死をめちゃめちゃ感じることによって、生の感覚を得られる」という描写がありますよね。死 に対する強烈な刺激を得ないと、生きている感じがしない。そう考えていくと、根本的には桂人も冴木も同じ病気なんでしょうね。

柳楽くんが「桂人は普通の人」と幾度となくインタビューで答えていましたが、
この感じってまさに「普通の人」という気がします。
今の10代ってまさにこの感覚を持っている人が多いなぁと。

まず自分に対する評価が低いのは確かですよね。だから、素直に愛を受け取れなかったりするんですけど、そうでありながら愛情を欲しているし、愛されたいと思っている。

香里のこの感じもそういう意味では、「普通の人」ですよね。
柳楽くんが桂人に対して「渋谷に行ったらいくらでもいる」と言ってましたが
香里もそのタイプだなと思います。
私も割とこれに近いところがあるし。


──冴木 は「桂人がいなくなれば、悪を感じずに欲望通りの人間になれる」と言っていて、一方の桂人は冴木はいることで「生きていられる」と安心する部分がある。支 え合っている感じがしますが、もし男女だったら依存が生まれて関係が崩れる気もします。男同士だから独特の距離感があるのかなぁと。


松本 僕は前作も同性愛の話だったし、同性同士の愛に興味があるんですよね。モチーフとして重要なものだと思っています。男女では表現できない何かがありますね。

映画を観てどう取るかは人それぞれなので、これもあくまで私見ですが、
桂人と冴木って大きな意味で同性愛だな…というのは映画を観て思っていたので
あながち間違ってないんだなぁと、これを読んで思いました。
特に冴木にとっては本当に良くも悪くも絶対的な存在で、連絡を取ってない間も
ずっとずっと桂人の存在を感じて葛藤しながら生きていたんだろうなと思います。

でもだからこそ、以前にも書きましたが、もっともっとそばにいて
もっともっと二人で語り合えてたら、お互いがお互いを支え合って
冴木も違う道にいけたんじゃないかという気がしてしまいます。
冴木は桂人に嫌われるのがいやで、あの告白をずっとできずに生きて
しまったという意味では、香里と一緒で「愛情を欲しているのに、
愛情を受け取れない」人なんだろうと思います。

桂人もそれを感じたからこその香里へのあのメッセージだったのかなと
思いますし、実際、桂人がそばにいることで香里が変わっていくんじゃないかという
希望も持てました。もちろん、そんな簡単なものでもないことはわかったうえで。

中村先生、いつか桂人と香里の幸せなショートストーリー書いてくれないかなぁ。
それは無理か…。