柳楽優弥ファンブログ「ジェットコースターにのって」

柳楽優弥くんズキ。2021年Works「浅草キッド」「太陽の子」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「二月の勝者」CM:JRA

[ディストラクション・ベイビーズ・柳楽優弥]映画感想(ネタバレあり)

初日を迎えて大分観た人も増えたと思うのでネタバレ編いきまーす。
観た方はコメントもネタバレでどうぞ!







はい。
これも変態仮面とは逆のベクトルで感想を書きづらいんですけどw

まず前置き。
私ちょっと自分にショックを受けたんですよね…。
この映画の柳楽くんは凄いだろうことは想像していたんですが、
「自分の想像」という意味でいうとちゃんと想像範囲内だったんです。
でも今日の世間の感想を読むと、皆想像を突き抜けている様子で。
自分の思う「柳楽優弥だったらこのぐらいできるだろう」というハードルと
世間の思う「柳楽優弥だったらこのぐらい見せてくれだろう」という想像に
差があるんだなぁと思いました…。
つまりそれは、私が「客観的に柳楽優弥を批評できない」ということを意味するんですよね。

ブログを始めた時に、なるべくファンだからの感想ではなく、
1視聴者、1鑑賞者としての感想を書きたいと思っていたのですが、
10年近く追いかけているとさすがに無理なのかもしれないですね…。

何が言いたいかと言うと、世間の皆さま並に興奮して「柳楽優弥すごかった!!!」
って言いたかったーーー!!!
いや凄かったんですけど。

本筋。

監督も柳楽くんも度々「暴力を肯定している訳ではない」と言ってました。
でもじゃあなんだろう…と考えたのですが、
「闘争本能を肯定している」映画なのではないかと思いました。

元々人間は、というか、動物は、生きるために闘争本能が備わっている。
でも人間は社会的な生活をするために基本的には本能の奥の方にしまっている。
しまっているだけであって、なくなった訳ではないから、時に発散したくなる時もある。
そのためにスポーツがあり、中にはボクシングのようなものもあるけれど、
それは「ルール」内で行われるものなので、さらに強い刺激を求める人は
闘牛や闘犬など、動物を使ってガチで戦わせる。

おそらく(特に男性は)泰良という凶暴な闘牛の戦いを観ているから
興奮や爽快ささえ味わうのではないかと。

冒頭2つの喧嘩。泰良はすぐには殴り掛からない。
ギターを奪ってから顔を見る。
自転車で割って入ってからもう一度向き合う。
これらは闘牛でいう「赤い布」なんじゃないか。
相手の闘争本能にエンジンがかかった状態ではじめて殴り合う。

そして、その様子を引きで長回しで映し出す。
観客は闘牛の行く末を観るように見守る。
やられても立ち上がると、「よっしゃ」となる。
(途中、キャバ嬢運転手もそんな感じで喧嘩を観てましたよね)

そんな強いやつとだけ戦う闘争本能に集中している闘牛を観ていると、
裕也が逃げ腰だったり、その割に女子や弱いものに対して暴力をしているのを見ると
「それは闘争本能とはずれている」となるから、クズ!!!となる。
(菅田くんが大変よいクズを演じてます)

ただおそらく泰良と裕也の2択で、どっちが自分に近いかって言ったら
大抵は裕也なんじゃないかなと。
裕也側だからこそ、ひたすらに闘う泰良に畏敬の念まで抱いてしまう。

暴力映画は全くだめな私がこれは受け入れられてるのは多分
暴力じゃなくて闘争本能を描いているからであって、
「○○がむかつくから殴る」ではなく「ケンカが好きだから殴る」という
シンプルな理由だったからだと思います。

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けど。
前にネタバレなし感想でも書きましたが、私は女性で、かつ柳楽くんファンなので
どうしても泰良に「物語」をみてしまうのです。

それは、弟がずっとずっと「お兄ちゃん」を探し続ける物語でもあったから。
あの感じを見る限り、ちゃんと「お兄ちゃん」してたと思うんです。
言葉少なくとも。喧嘩しても。
そして恐らく、幼いころに2人暮らしになって、同級生や上級生に目をつけられる
可能性が高い中で、「お兄ちゃん」は弟と自分を守るために、生きるために
「闘争本能に火が付いた」んじゃないかと思ってしまうのです。
しかも自分が喧嘩をする分、弟にはさせなかったのでは、とも。

しかも少なくとも18歳で「勝手にせい」と言われるまではちゃんと弟と
一緒にいた。
彼はモンスターではなく、人間なんじゃないか。
そう思うのは甘いのかなぁ。

監督は当初そういう家族背景も書こうと思ったけど、伝えたいのは
そっちじゃないってことで止めたらしいので、この感想は的外れなのかも
しれないけど、でも弟パートがこれだけ残ってるっていうのは
単に「加害者の家族」だけではない意味が何かがあるんじゃないかなと
感じてしまいました。

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柳楽くんについては、もう言わずもがな(あ、これまりぶ嫁のセリフw)ですね。
何度も何度も書いてるけど、やっぱり柳楽くんは黙ってても語れる人だと思うんです。
しかも、今日2回目3回目観ましたが、複数回観ると、やっぱりちょっとユーモラスなんですよね。
ヒー!って痛がる声も、フォー!って叫ぶのも、立ち上がり方も、
バックバックと食べる姿も、笑ってるのかどうかよくわからない絶妙な表情も。
思考回路がイっちゃってる殺人鬼とかそういうのとはまた違って、
闘争本能のままに生きてるから、動物的でそこがユーモラスになるんだろうなぁと思います。

あと、歩き方!!!ほんと役によって歩き方変えてくるので最近楽しみの1つでもあるのですが
ラストシーンの歩き方とかほんっと最高でした。
動物的。只者ではないとすぐにわかる歩き方。
ラストシーンは色々な意味で鳥肌ものでした。

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その他
音楽、やっぱりいいですね…!特に一番最初に不協和音入って、そこから泰良の
背中をずっと映して、しつこくしつこく映して、ガッと振り返ると
不協和音がそこで消えるっていうのが、ゾクゾクします。
後半の暗闇のカーブを車で走らせる時の不協和音もたまらない。
で、最後の主題歌。
私サントラまではめったに買わないのですが、これは買っちゃいそうです。


んー。なんか思うところありすぎて、まとまりのないダメダメな感想になってしまいましたw
でも、監督や柳楽くんが言うようにこういう考える映画、いいですよね。